le monde lunatique

白銀色の月光を浴びて、狂ってしまったのは世界?それとも私?

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18世紀末のとある道徳論

先週から、Mの道徳論を読んでいます。
この道徳論、1773年頃に書かれたのですが、出版は1784年。フランス革命の5年前です。当時の人たちは、どんな想いで、この道徳論を読んでいたんでしょうか。
ところで現代の眼でMの道徳論を読むと、Mが自然(自然状態)を手放しで肯定しているのでもなく、逆に社会状態や人間理性を全面的に信頼しているわけでもないところがおもしろいんですね。つまり、18世紀という時代に、感性(人間の自然な感覚)と理性のあいだでどちらをとるべきかという論争があったとすると、Mは、どちらもただしくないし、この議論は不毛だろうといっている。Mの議論のすすめ方、私にはゲーテの『ファウスト』なんかにつながるようにも思えるんですね。
以下に、Mの道徳論のなかからポイントとなるとおもわれる一節、引用しておきます(わかりにくい拙い訳でごめんなさい)。

    *   *   *

 私たちが善への傾向とともに生まれたといっても、また、私たちの社会的性質が公共の幸福のなかに個人の幸福を見出すよう、私たちを準備し、私たちを招くといっても、しかしながら、徳への傾向に危険なく身をまかせることができると信じないよう、また徳への傾向をあおりながら、道徳は美徳を増加・増大させることしかしなかったと信じないよう、用心しなくてはなりません。なぜでしょうか。なぜなら、自然はすべてをなし遂げてはいないからです。そして自然は私たちの理性になすべきことをゆだねたからです。その神秘的な叡智にまで入り込むことができないモチーフによって、人間を、理性(光明)が無謬で自由を濫用できない存在にすることを望まず、もしこうした表現が許されるならば、自然はその作品の素描しか行いませんでした。私たちにむかって自然は次のように語ります。「私はあなたたちにすべてなし遂げられた幸福を与えませんでした。しかし私は、あなたたちがこうした幸福を組み立てることのできるすべての道具をあなたたちに授けます。大地のみのりはあなたたちの生存に必要です。大地はそれを充分提供するでしょう。しかし私は労働によって大地を豊穣にする配慮をあなたたちの腕にゆだねます。平和、結合、友情、慈善、協和は幸福のための道具です。私はあなたたちの魂にそれらの貴重な種を捲きました。あなたたちに授けた社会的性質がそれらを育てるのです。そしてあなたたちの理性、最も崇高な知識へと自らを高めることが可能なこの知性に対し、私はあなたたちの繁栄という建造物を建てるに適したすべてのこうした素材を整理し、配置し、監督する配慮をゆだねます。」
 快楽の魅力によって私たちの魂を揺り動かし誘惑するすべての対象が、もしも私たちにつねに有益であったならば、またそれとは反対の結果によって私たちを尻込みさせるものが、もしも私たちにいつも有害であったならば、私たちはこの二つの印象に安全に身をゆだねていたことでしょう。しかし不幸なことに、私たちは偽りの快楽と偽りの苦に取り巻かれています。それらによって欺かれないために、私たちは熟慮し、反省し、比較し、どのような徴のもとに私たちがそれらの真の性格を認識するかを学ぶ必要があります。私たちの理性は感覚に警戒する習慣をつけなくてはなりません。また、比較するために過去を呼び起こしながら未来に向うときに、理性は、自分を酔わせたり誘惑したりする活動ではなく、理性を動かすことが必然的な活動しか情念にゆだねないようにしなくてはなりません。憂慮すべき反動にともなわれた快楽を跳ね返すために必要な勇気を私たちが獲得し、持続的な善を手に入れるために束の間の苦を露わにすることができるのは、この唯一の方法によってなのです。以上が私たちの運命です。臆病さがそれに抵抗することもありえます。しかし運命に従わなくてはなりません。もしこうした用心がその習俗を規則づけようとする個々の市民に不可欠であるとするならば、あなたがかくも愛し、また国家の一般的な命運を決定する政治には、さらにいかほどの用心が必要か判断してください。
 私たちを徳へと導くがゆえに私が有徳な情念と呼んだ社会的性質は、それ自身、ある種の規則のもとにおかれる必要があります。なぜなら、自然はそれらに限界を課したからです。もしこの社会的性質が限界を越えるならば、それらは徳であることをやめます。そこから諺風のこうした格言が生じます。「徳は自制を必要とする。過度でありはじめるとき人は賢者であることをやめる。」


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テーマ:文明・文化&思想 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2006/06/11(日) 11:46:23|
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