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白銀色の月光を浴びて、狂ってしまったのは世界?それとも私?

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大峯顯氏の『親鸞のコスモロジー』を読むーーその2

「生死を超える自然の道」の章のなかで私にとって一番刺激的なのは、大峯氏の自我論(自我=仏論)です。

「道元禅師が言ったように、「仏道をならうというは、自己をならう也」(『正法眼蔵』)であります。自己とはいったい何者か、私は誰かを究明することが仏教の問題の全部だというのです。(中略)仏さまに出遇うことによって自分に出遇った。「自分」に先に出遇っておいて、次に「仏」に出遇うのではありません。仏に出遇うことが自分に根源的に出遇うことなのです。根源的にということは、つまり、仏が先ということです。
 考えてみたら、私どもが生まれた時もそうではないでしょうか。自己自身の始まりなど自分ではわかりません。この世における始まりだって、両親は知っているかもしれないが、本人は知らなかった。どんなに自意識の強い子供でも、「今、おれは生まれる」などと自分の初めを自分で確認して出てくることはない。もうすでに自分よりも先なるものがあった。これは明々白々なことで、自我主義がとどかない次元が私自身の底にあるのです。
 そうして、三歳か四歳ころのある日、自分というものを知るわけです。そこから自我が始まる。私とか僕という言葉を使った時が始まりと言います。その時、その子ははじめて自意識をもち、両親や他人を知る。しかし、そこで自分そのものが始まったわけではありません。自己は意識の根源ですが、自己そのものの根源は意識より以前です。自分そのものの始まりは普通にいう自分、すなわち自意識より先にある。それは両親とは別な次元です。私たちは自分、自分と、何もかもを自己の統制下に置けるように思っていますが、自己にはそうでない次元がある。自意識よりも先の次元があります。いったん自意識が発生しますと、こんどはすべて自分の自意識下にある、言い換えれば、自分というものが支配しているように思うのですが、初めにあった自分の自意識を超えたものが、実は絶えず私の自意識の根底にあるのです。その根源から、私は両親という縁を通って、この自分というものにやってきたのだと言えるでしょう。
 それを錯覚して、自意識が出たからには、世界を全部、自分の力の統制のもとに占領したと思ってしまう。今までは自分のものでなかったけれども、それを占領した。そういうふうに自分本位に世界を見てしまいがちです。しかし私を超えていたものは、私の自意識の根底に、すこしもなくならないままに今もあるわけです。それが私どもが「仏」と呼ぶものだとも言えます。」(本書23-5頁)


大峯氏の議論をつきつめていくと、仏というものがいわゆる「仏」ではなくなってしまう可能性すらあると思うのですが、それを容認したうえで、自意識の先にとあるなにものかを見出していこうというのが、大峯氏の考え方といえるでしょうか。
この自意識の先の次元、普通に考えるとただちに超越なり絶対者にいってしまいそうですが、そうではなくて、他者の意識の転移の次元ということもできると思います(こちらの考え方の方が私にはおもしろいし、後にでてくる言語論とも結び付けやすい)。大峯氏が幼児を例にひいて意識形成を問題にしているのは、そうした含みもあるのではないでしょうか。

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テーマ:意識・認識・認識論 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2006/08/11(金) 12:00:14|
  2. 仏教史&仏教思想
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