le monde lunatique

白銀色の月光を浴びて、狂ってしまったのは世界?それとも私?

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ブレッソンの作風と親鸞

某仏教系研究会会報用の原稿の構想がうまくまとまらなくて、今日は大学時代の友人に電話をかけてみました(彼には、昨年末に行った研究報告のレジュメを送ってあります)。
話は歴史のことにはならなくて、もっぱら雑談に終始したのですが、そのなかでブレッソンのことが少し話題になりました。そこで電話を切ってから、このブログでもご紹介しているブレッソン『バルタザールどこへ行く』公開当時の「アートシアター」プログラム(第76号)をまた引っ張り出し、それを読みかえしてみると、こんなことははじめてなのですが、今の私には、これが親鸞と名号のことを語っているように思えました。私が書きたいのは、親鸞と民衆とのかかわりとか、救済の問題ではなくて、こんな親鸞論(名号論)なのですね。

   *    *    *

浅沼圭司:一般的な問題として言うと、例の『抵抗』を論じた文芸評論家のことばにサジェストされて少し考えてみると、もっとはっきり言えばマラルメなどの”ことば”に対する考え方と大変、もちろんブレッソン自身はそんなことは考えていないと思うけれども、ぼくらが脇からみると、共通したものを感ずるんです。マラルメの有名な「詩の危機」(crise de vers)という論文があるんですが、そこの有名なことばで、ナマのことば日常のことばというのは貨幣みたいなものであって、思想交換、感情交換のための手段でしかない。それはそれ自身の存在を持たない。それに対して本来のことば、本質的なことばというのは”何かのための”ことばでなく、ことばそのものであって何かとの交換のためにあるのではない。それはいろいろひっついた思想とか感情とか習慣とかをどんどん落としていったところで純粋化されたことばなんですけれども、どんどん純粋化してみると結局何もなくなってくる。なくなるどころかあるものをなくしてしまうような働きを持ってくる。マラルメはおそらく彼の詩作を通して、ことばの純粋化をどんどんやっていたのだろう。ところがそうしていくと、純粋化されたことばというのは、いろいろな現実の表面的皮相的な、あるいはくっついたものをどんどん消していく力を持ってくるわけで、ことばそのものへの関心から始めた詩作は、次第次第に今度は現実の表面的なものを洗い流していくという力をおのずから持ってしまう。そうすると、向こうに見えてくるのは、現実を越え出た何かではないだろうか。ことばそのものへの関心、その純粋化への試みは結局超越的なもの、聖なるものへの関りを生じるわけですね。マラルメの確固たる硬い主知主義的な詩の世界は聖なるものに対して開かれ、現実に対しては閉ざされているような気がします。そういう性格というのはどうもブレッソンなんかにも、非常に強くあるんじゃないか。

【参照】
ロベール・ブレッソンの作風をめぐって 2
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テーマ:仏教 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2007/02/07(水) 13:29:02|
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  1. 2007/05/19(土) 21:34:06 |
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