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白銀色の月光を浴びて、狂ってしまったのは世界?それとも私?

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『メゾン・ド・ヒミコ』トークショーを聴く

昨日(18日)は、渋谷のシネマライズで行われた『メゾン・ド・ヒミコ』の監督・犬童一心と田中泯のトークショーを聴きに行った。上映終了後、今まで画面の中で動いていた同じ人が、ポンと飛びだしてきて生身で話し出すという感覚は、なんともいえず不思議でおもしろい。
本質的に舞踏の人である田中泯は、トークショーがはじまっても寡黙で、多弁な犬童一心との対比がこれまたおもしろい。
トークは、犬童監督が田中泯に出演を依頼するきっかけとなった日本アカデミー賞受賞式での出会いのエピソードの紹介からはじまり、田中泯が動いているところではなく、プレゼンターとしての自分の出番を待ってじっとすわっている姿をみて彼に決めたという話になっとく。田中泯は田中泯で、出演を承諾する前に送られてきた台本を読んで、自分にこの役を依頼するというのはいったいどんな男だろうと、犬童監督の訪問を待っていたと語った。だから、この映画に出演するということは、犬童監督の最初の二言、三言で即決したという。
演出に関しては、犬童監督は田中泯の演技になんの注文もつけず、すべてを彼にまかせていたという。監督曰く、「映画は大勢のスタッフでつくるものなので、この映画に関わったスタッフのなかにも田中泯の演技に違和感を感じてそれを修正しようとする人がいたが、自分はそういう人のなだめ役に回って田中泯が自由に動けるようにとだけ配慮した。監督というのは、そういうなだめ役にまわることもあるのだ」という。
したがって、田中泯の動き、そしてそれとからむ柴崎コウの動きも、監督の指示というより、自発的なものが多いのだが、田中泯とやりとりしながら柴崎コウがどんどん変化していくのがわかり、なにか自分はその変化を記録しているという気がしたという。いいエピソードだ。

さて映画の方は、これで四度目の鑑賞だが、正直言って今回が一番楽しめた。振り返って前回の見方を反省してみると、「否定派」の存在を意識して、彼らをどのようになっとくさせるかという視点から見すぎていたように思う。先日タックスノットで、『メゾン・ド・ヒミコ』についてかなりつっこんで議論をしたことで、自分のなかでこの問題がいちおう整理でき、今回は、なにかすんなり作品に入り込め、笑うべきところで笑い、泣くべきところで泣きながら、とてもおもしろく作品を鑑賞した。
それで気づいたこともまたいろいろあるのだが、映画をみながら、ふと、私がこうして自分の解釈を書くことが、他の人が自分でこの作品を解釈することの邪魔になるのではないかと思えてきたので、基本的に、もうこれ以上私の解釈は記さないことを決心した。
この点については、トークのなかで、犬童監督自身が、「実際に撮影にはいって人が動き出すと、ああここのシーンは実はこういう意味をもっていたのかと気がつくところがあった」と語っている。
『メゾン・ド・ヒミコ』という作品に絶対の解釈などはなく、悪も善も、醜も美も、作品のなかですべてが同時に具現化されているのだ。醜悪なもの、穢れたものを排除して成り立つ美はしょせんはなかいものでしかなく、真の美というのは、醜悪なものも穢れたものも、すべて呑みこんだところに成立すると、『メゾン・ド・ヒミコ』は沈黙のなかで示しているのではないだろうか。
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テーマ:映画 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2005/10/19(水) 15:27:36|
  2. 映画
  3. | トラックバック:2
  4. | コメント:9
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  1. 2005/10/19(水) 15:34:24 |
  2. |
  3. #
  4. [ 編集]

初めまして。

以前TB頂きました。有り難うございました。
ただ自分はこの映画を見てないので表面的なことしか書けずとっても悔しいのですが
田中氏が参加したトークショーがあって、それに参加されたとはなんとも素晴らしい!
それに何度も見ていらっしゃるようで
この作品への思い入れと熱意を感じます。
そして田中氏が賞をもらうまで座って待っていた様子を見て監督が出演依頼を決めた、
というのも聞けて良かったです。あくまでも想像ですが田中氏が凛とした様子で待っていたのか、などと考えたりできました。
彼のファーム生活などにもとても興味があるんですが人間性は別にしても演技を是非観たいです。
  1. 2005/10/19(水) 18:24:24 |
  2. URL |
  3. flowfree #-
  4. [ 編集]

ようこそ♪

flowfreeさん、ようこそ。私のTB、送りっぱなしになってしまって恐縮しておりました。ただflowfreeさんのブログは、普通にはコメント書き込めないようですので、今度あらためてメール送らせてください。

トークショーの方、作品の解釈うんぬんという問題には至りませんでしたが、限られた時間のなかでは充実した内容だったと思います。
田中泯さん、最初はちょっとしゃべりにくそうにしてましたが、途中からエンジンがかかって、いろいろなこと話してくれました。
私の他にも、sea1900さん、akaboshiさんが聴いておられるみたいですから、それぞれの印象記が出そろえば、きっとおもしろいものになるのではないでしょうか(sea1900さんとは、午前2時ぐらいまで、いろいろ話し込んでしまいました)。
  1. 2005/10/20(木) 01:31:17 |
  2. URL |
  3. lunatique #tmBa20pk
  4. [ 編集]

承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです
  1. 2005/10/20(木) 15:51:53 |
  2. |
  3. #
  4. [ 編集]

山崎さんのシーン

先日はコメントをいただきありがとうございました。
山崎さん役の青山さんが素敵な方だと伺ってとても嬉しかったです。
観てからずいぶん時間が経ちましたが、山崎さんの登場シーンはとてもよく思い出します。
粗野な私にはあこがれの存在です。
lunatiqueさんのメゾン・ド・ヒミコ評、興味深く読ませていただきました。
参考にさせていただいて、また別の角度から考えてみようと思います。


  1. 2005/10/21(金) 23:24:48 |
  2. URL |
  3. naocco8 #-
  4. [ 編集]

セリフの裏側

naocco8さん、こんにちは。
『メゾン・ド・ヒミコ』、四度みた今、私はこの映画は沙織と春彦のあいだの風変わりなラブ・ストーリーなんだと思いはじめています。
二人は、互いに惹かれあっていながら、そんなことありえない、相手が好きでも現実にはどうにもならないと思っているから、相手に好かれまい、好かれまいと思って、ほんとうに思っていることとは反対の言葉しかいえなくなるのじゃないかと…。
もしかすると、台本にはそうしたセリフの「裏側」は書いてなかったんだけど、柴田コウとオダギリジョーという生身の人間が演じているうちに、そうした奥行きがでてきたのかもしれない。
だから、「実際に撮影にはいって人が動き出すと、ああここのシーンは実はこういう意味をもっていたのかと気がつくところがあった」という犬童監督の言葉、とても大事だと思うんです。
そんな観点からこの映画を観ると、おもしろいシーンたくさんありますから、ぜひもう一度ご覧になることをお薦めします。
  1. 2005/10/22(土) 10:09:49 |
  2. URL |
  3. lunatique #tmBa20pk
  4. [ 編集]

こんにちは。考えれば、この作品に含まれる事は多くて、また、時間を置いて思う事が生まれると思います。
TBさせていただきました。
  1. 2005/10/22(土) 13:58:11 |
  2. URL |
  3. sea1900 #-
  4. [ 編集]

当BLOGにコメントありがとうございました。
トークショーの話、興味深く拝見しました。
やはり田中泯の演技は一任されていたのですね。なんとなくそんな感じを受けていましたので納得しました。
早くも次回作が愉しみです。
  1. 2005/10/22(土) 16:22:33 |
  2. URL |
  3. クリシェ #JalddpaA
  4. [ 編集]

「記録」

sea1900さん、TBありがとうございます。

クリシェさん、田中泯さんの動き(私はそれを「演技」と呼びたくないのです)だけでなく、柴崎コウの動きやオダギリジョーの動きも、相当の部分、彼らにまかされてたのではないでしょうか。そして犬童さんはひたすらそれを「記録」していたわけです。
犬童さん、次回作では暴力を描きたいと書いてますから、『ヒミコ』とはまた異なった感じの作品になりそうですね。
  1. 2005/10/22(土) 20:31:27 |
  2. URL |
  3. lunatique #KAqg7Yzw
  4. [ 編集]

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「メゾン・ド・ヒミコ」とトークショー

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