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白銀色の月光を浴びて、狂ってしまったのは世界?それとも私?

『新古今和歌集』恋歌ベスト10

ことし最初の読書に『新古今和歌集』を選んだので、たわむれに新古今の恋歌ベスト10を撰んでみた(順番は新古今のなかの配列順、すなわち恋のはじまりから恋のなごりへと並べてある)。みなさんのベストはいかに。

わが恋は知る人もなし堰く床の涙もらすなつげのを枕  (式子内親王)
思ひあまりそなたの空をながむれば霞をわけて春雨ぞふる  (藤原俊成)
面影のかすめる月ぞやどりける春やむかしの袖の涙に  (俊成卿女)
とこの霜まくらの氷きえわびぬむすびもおかぬ人の契に  (藤原定家)
たゞたのめたとえば人のいつはりを重ねてこそは又も恨みめ  (慈円)
くまもなきおりしも人を思出でて心と月をやつしつるかな  (西行)
わが涙もとめて袖にやどれ月さりとて人のかげは見ねども  (藤原良経)
思ひ出でよたがかねごとの末ならんきのふの雲のあとの山風  (藤原家隆)
袖の露もあらぬ色にぞ消えかへるうつれば変るなげきせしまに  (後鳥羽院)
かきやりしその黒髪のすぢごとにうちふすほどは面影ぞたつ  (藤原定家)


ちなみに、業平、和泉式部の歌にも捨てがたいものがあったが、作品はいわゆる新古今時代の歌人のものに限定した。
定家の歌はさすがに良い作が多く(「あぢきなく」「忘れずは」「消えわびぬ」「しろたへの」等)、こうして撰んでみて新古今を代表する歌人との認識をあらたにした。彼の歌は他の歌人とのバランスで数をおさえてある。
他の歌人、たとえば後鳥羽院の歌は、こと恋に関するかぎりあまりさえない感じがする。「袖の露も」の歌も後鳥羽にしてはあまりできがよくないと思うが、他にとれる作がないのでこの歌を撰んでみた。要するに、「初恋」「忍恋」「失恋」と恋部のほとんどの歌題が、ゴージャスな彼の心にそぐわないのだろう。
慈円、西行も恋部にはあまりいい歌がないように思うので、他の歌人の作とは撰定規準をかえて、あえて思いっ切り彼ららしい作を撰んでみた。この二首をすぐれた歌だと思っているわけではない。ただ結果として、十首のなかほどに慈円、西行の歌がはいり、転調の効果はあるかと思う(笑)。
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テーマ:詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2006/01/15(日) 13:21:14|
  2. 和歌および古典文学
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