le monde lunatique

白銀色の月光を浴びて、狂ってしまったのは世界?それとも私?

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

贋物の英雄譚ーー『青の時代』(三島由紀夫)

現在進行中のライブドア問題、事件の詳細やそれに対する評価はともかく、マスコミをとおして事件の概要をきいているうちに、私は三島由紀夫の『青の時代』(昭和25年刊)を思い浮かべてしまった。

三島の『青の時代』は、戦後「光クラブ」という闇金融会社を開設し、一般市民から大量の資金を集めたうえで金策につきて自殺した東大生社長・山崎晃嗣をモデルにした中編小説だが、三島は、この事件を批判的に描くのではなく主人公の川崎誠を共感的に描いて、一種の快感のある軽い風俗小説に仕立てている。
『青の時代』が作品として高く評価されていないのは、三島自身が認めるように(「取材も構成もおろそかにしていきなり光クラブ社長の小説化に飛びつき、およそ文体の乱れた『青の時代』」~『私の遍歴時代』)、誠の幼年時代を描いた第六章の前半までと戦後を描いた第六章の後半に断絶があって、作品全体がすっきりつながっていないためだが、この欠陥を認めつつ、三島のなかでは、私はわりと好きな小説だ(前半も後半もそれぞれにおもしろい。ちなみに、誠の幼年時代の描写のなかには、この作品の直前に書かれた『仮面の告白』とはまた違ったかたちで三島の幼年時代が重ね合わされているように思われるが、その描写を書き続けていくと光クラブ事件という実際に起こった事件とつながらなくなることに気づき、三島は誠の幼年時代の描写を中断してしまったのだろう。この「中断」という事実からも三島という小説家の特質は読み取れると思う)。
ライブドア、堀江氏の問題を軽々しく文学作品の問題と比較するのはつつしまなくてはならないかもしれないが、『青の時代』という作品はそうでもしないとちょっと評価の難しい作品なので、この機会に取りあげておく。
ちなみに『青の時代』の序に、三島は次のように記している。
「僕の書きたいのは贋物の行動の小説なんだ。まじめな贋物の英雄譚なんだ。人は行動するごとく認識すべきであっても、認識するごとく行動すべきではないとすれば、わが主人公は認識の私生児だね」
スポンサーサイト

テーマ:本の紹介 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2006/01/18(水) 13:07:42|
  2. 文学(人と作品)
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<観世九皐会の能入門講座 | ホーム | 「夢はむすばず」ーー藤原良経と千五百番歌合>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://lunatique.blog20.fc2.com/tb.php/71-5ed1831d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

lunatique

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。